医療と社会

社会医学の祖、ウィルヒョウという人は「医学は本質的に社会学である」と言いました。


医療というと普通自然科学に分類されるのに、なぜ社会学なのでしょうか?


実はよく耳にする「公衆衛生」という言葉、社会学と深く関係があります。


公衆衛生の始まりというのは、伝染病を効率的に防ぐために
伝染病はどこで起こるのかを調査し
その結果、居住環境と密接に関係している
と結論付けられたところから始まっています。


例えば、昔ヨーロッパでコレラが流行した時、水道の中にコレラ菌があったのですが、どの地域でコレラ患者がいるのか調査することでその原因を突き止めました。




また、なぜ社会学なのかという問いには、この3つの観点からも答えることができます。


1つめは、個人の健康状態には社会的要因が影響を及ぼすということ。
裕福な人と貧しい人で健康状態が違ったり、宗教や地域などでも違いがあります。


2つめは、医療とは病気の人を健康な状態に戻し、元の社会のポジションに戻すことが最終目標です。
病気になった人はその病気になる前、仕事をしたり社会の一員でした。その社会を構成していた1人を扱うという点で、社会的な役割を担っていると言えます。


3つめは、医療自体に沢山の人や技術、機器などのサービスが投下されており、医療それ自体が1つの社会システムであるという視点です。
どのように人員を配置し、どのように資金を分配するのかというのは、社会の問題と同じであると言えるでしょう。